文学の凝縮、アイドルの拡散

36.なんか普通によかった〜今村昌平『うなぎ』

 

うなぎ 完全版 [DVD]

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 1997年公開の今村昌平監督作品で、パルム・ドール賞を受賞した作品です。

 ちなみにパルム・ドール賞を受賞したことのある日本人監督は衣笠貞之助黒澤明今村昌平是枝裕和の4人だけのようですね。

 また世界三大映画祭のカンヌ、ベネツィア、ベルリン、のそれぞれの最高賞が、パルム・ドール賞、金獅子賞、金熊賞らしいです。(メモメモ)

 

 浮気した妻を殺し8年間の刑務所生活を経た男が、仮釈放となって田舎で理髪店を始めます。

 そのうち、主人公の男は草むらで自殺未遂を図った女を偶然救い、その女が理髪店に勤め始めます......。

 

 なんか、ふつうによかったです。笑

 原作が『闇にひらめく』という吉村昭の小説なんですね。

 私のシェアハウスの近くに吉村昭ゆかりの巨大図書館があり、住み始めたころに吉村昭の初期小説をいくつか読んだのですが、いい文章を書きますよあの人は。(それはそう)

 

 個人的に特によかったシーンは、終盤理髪店の店内で大人数で乱闘騒ぎになるところですね。

 電灯が外れて宙ぶらりんになったり水槽が割れたり、そういうのが(たぶん結構長回しのワンカットで)目まぐるしく展開していくのは心地よかったです。

 雰囲気が深刻になりすぎず、終始少しのユーモアが混じっている感じもいいリズムになっていた気がします。

 

 短いですが感想以上です。

 10月の残りは読書や映画鑑賞はせず、群像に出す小説の執筆に集中することになりそうです。