TSUTAYAにおけるエロティックのジャンルの映画です。
タイトル通りですが、日本統治下の朝鮮の名士の家に住み込む女中が主人公の話です。
2016年公開の映画。
韓国併合下と言っても戦争を感じさせる風景はほとんどなくて、その豪奢な家の中に物語の軸が据えられています。
140分と長い映画ですが、だいぶよかった。
まず、舞台設定が自分に馴染みのないものなので、それ自体面白いです。
そして、所々の光景がだいぶ狂っているというか、奇抜な発想力を感じる場面が多かったです。
例えばその屋敷のお嬢様が日本の江戸時代の黄表紙みたいなエロ本を朗読し集まった富豪のおやじたちがそれを聞く会が定期的に開かれている、とか。
黄表紙の挿絵がちぎれて性行為の様子がわからないので宙吊りの木製人形にまたがってお嬢様が実践する、とか。
あと、女中とお嬢様のレズのシーンは正直全部よかったです。
最初の方だと女中が指をお嬢様の口に入れて歯の様子をチェックするみたいな場面や、最後の方だと変な金属の鈴みたいなのをお互いの陰部に押し込んでシャランシャラン音を鳴らしながらレズセックス(?)をする場面など、設定も二人の表情もなかなかよいものでした。
話全体はどんでん返し的な作りになっていて、真剣味はありながらもまあわりとザ・エンタメという作品なので、個人的にはこの描写の感じでもっと腰を据えた構成、人物描像の作品が観たかった感はありますが、とはいえかなり満足した作品でした。
とにかく本作に対しては、自分が映画に求めているものとして、作品の方向はまるきり違うのだけれど北野映画並に何かを享受することのできた感覚を覚えました。
新鮮な舞台設定と映像世界、文学的な意味でのいいカットと美術的な意味でのいいカット、あたりが私が映画に求めているものなのでしょうかおそらく。