1995年公開の映画で、岩井俊二氏の初長編映画監督作品、らしいです。
いろいろ賞とってるみたいですね。
とにかく風景が、雪景色がきれいです。
まず冒頭のシーンがよいですね。
雪山に中山美穂演じる主人公が倒れこみ、起き上がって、ゆっくりふもとに下っていく。
後ろ姿は下っていくにつれ小さくなっていき、白の混じった枝の細い木立に隠れてしまうまで、高い場所にある(ほとんど)定点のカメラで長々と映している。
バイクの後輪が雪を跳ねるとか、自動車が雪道の上をがたがた揺れながら進んでいくとか、そういう合間合間にさしこまれる描写もよかったです。
なんというか丁寧で、すみずみまで気を配っている映画だという印象を受けました。
しかし物語自体はあまりしっくりきませんでしたね。
謎を小出しにする感じや登場人物のセリフなどからエンタメ作品の気質を持っていることが序盤から明らかですが、エンタメとしてはストーリーの完成度が高くなかったように思いました。
亡き恋人に対する主人公の期待と恐怖のゆるいせめぎ合いであったり、二人の藤井樹それぞれが実は無知の恋心みたいなものを持っていてそれがぼんやり浮きつ沈みつしてる感じなど、そのあたりがたぶん肝なのかなと思ったのですが、それにしてもなんというか全体的にストーリーや人物描像のつじつまが微妙な印象を受けました。
わりと評価の高い作品だけど自分で観ていやこれストーリー微妙じゃねってなったのは、2016年公開の『怒り』もそうでした。
あれも、最後までだれが犯人かわからなくする構成などエンタメっぽい要素のある映画でしたが、ストーリーとしては自分はしっくりきませんでした。
無関係の3種類の話で時間的に3分割されているため、最後にごごごっと上げて来られてもちょっとその盛り上げ方過度じゃないかと思って感動が薄まっちゃうんですよね。
ま『怒り』の原作は吉田修一なので、小説の方は面白いのだと思いますが...。
話が逸れましたがそういう感じの感想でした。
最近エンタメ映画でめっちゃいいと思えるもの観れてないです。(エンタメとは何かという話は割愛。)
最近観たエンタメ系の映画で記事になってるやつの中だと、たぶん韓国映画の『お嬢さん』が一番よかったかな。