文学の凝縮、アイドルの拡散

49.やんちゃな少年たちの心地よい会話〜北野武『キッズ・リターン』

 

キッズ・リターン [DVD]

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 1996年公開、バイク事故から復帰後の北野武の初監督作品です。

 

 当時多くの報道陣が、事故を経験した影響で従来の北野映画とは異なる優しい映画を撮った、と評したみたいで、それに対し北野武が何かの対談で「それは間違いで、事故の前でも撮れた、自分の中にもともとあったもののワンパーツにすぎない」と語っていました。

 

 二人のヤンキー高校生の話です。

 ひとりが喧嘩っ早く溌剌としていて、もうひとりは落ち着いていて寡黙。

 いっつも授業をサボり二人でつるんでいます。

 ボクサーにこてんぱんにされたことをきっかけに喧嘩っ早い方がボクシングジムに入会し、連れられて寡黙な方も入会します...。

 

 やっぱりいいですね。

 二人の少年の会話がいい、関わり方やコミュニケーションの間がいい。

 やくざものの映画ではないし北野武は出演していないんですが、少年たちのやりとり、静かな風景のカット、小気味良い感じのユーモアなどよくて、ああ北野映画という感じがします。

 今まで私のみた他の北野映画にはない爽やかさみたいなものもあります。

 

 いい作品でした。