文学の凝縮、アイドルの拡散

51.最後の一言が〜ジョエル・コーエン『ファーゴ』

 

 1996年公開のアメリカ映画。

 有名作ということで観てみました。

 

 TSUTAYAだとミステリーコーナーに分類されていましたが、殺人事件が起こるとはいえミステリーという感じではないです。

 誘拐事件を偽装してお金を得ようとしたら、微妙な歯車のズレが重なりあって大事件に発展していく、みたいな話です。

 

 冒頭のシーンが印象的でした。

 画面一面の真っ白の中央の辺りをちいさな鳥影がはばたいていて、ボンネットが浮かび上がり、雪の中から車両が浮かび上がる。

 序盤のシーンで婦人がやたら高速に野菜をきっているのとかもよかったです。

 そういう映像の描写がところどころ印象に残っています。

 

 犯人を捕まえたあと、ラストシーンで妊婦の警察官が「わたしたち幸せよね」みたいな発言を夫にするのは、なんとなく文学的な微風が吹いたような気もしましたが、それまでの流れを考慮すると、単に「エンタメ作品のオチ」と受け取るのが自然なのでしょうか。