文学の凝縮、アイドルの拡散

88.ビートたけし『ホールド・ラップ(ラップ・アップ)』

 

「ビートたけし」文藝 2019年4月号 増刊
 

 

たけしの小説はじめて読んだが、やっぱおもろい。逐一挿入されるリリックしかり、ギャグベースの文章だが、切実な感じが伝わる。

 

 昼寝て、働く夜中のバイト!

 寝ないで暴れた日米安保

 みんな卒業、俺だけ迷子!

 ジャンジャン狂う生活テンポ!

 四〇そこらで早くもインポ!

 小便以外でいじらぬチンポ!

 いまが幾つかわからねえ!

 

 客が笑わない夢を見た。

 昨日から始まった下水道工事の現場だった。これが赤坂TBS近くにある飲み屋街のど真ん中、一ツ木通りと交差した細い二車線道路を片側通行にしてしまっていた。(冒頭)