文学の凝縮、アイドルの拡散

2019-02-19から1日間の記事一覧

76.柴崎友香『春の庭』

ちょっと前の芥川賞作品。 アパートに住む三十代の男を中心に、その隣人たち、周辺の建造物の輪郭を、さらさらと、それでいて柔らかい手触りで描く。たいした筋はない。悪くいえば退屈。がしかし、気づくと、読者は構造を失った不思議な浮遊感のなかに連れて…