文学の凝縮、アイドルの拡散

文学の凝縮、アイドルの拡散

小説や映画の感想を書いています。

69.テリー・ジョージ『ホテル・ルワンダ』

 

 2004年公開、南アフリカ制作の社会派映画。

 Wikipediaをコピペすると、

「1994年、ルワンダで勃発したルワンダ虐殺によりフツ族過激派が同族の穏健派やツチ族を120万人以上虐殺するという状況の中、1200名以上の難民を自分が働いていたホテルに匿ったホテルマン、ポール・ルセサバギナの実話を基にした物語」だそうです。

 

 まあ前にも書きましたが、とりあえずこういうのはいいですな、ルワンダの風景とか全く知らないし、普段目にしない人種の表情の感じとか、発声のしかたとか、そういうのが新鮮で。

68.行定勲『パレード』〜案外エンタメっぽくない

 

パレード [DVD]

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 2010年公開、吉田修一原作の、シェアハウスしている若者たちの近いようでいて少し距離のある、なんとなく不気味な人間関係を描いた作品です。

 

 吉田修一原作とだけあって、流行りの役者勢揃いという感じのキャストでありながら、ポップさをまといつつもじっと小さいものを積み重ねて名状しがたい何かを浮き上がらせようとしているような、いい感じの雰囲気が通底していました。

 

 ただ、みんなが長時間静止してじっと目線をよこし窓からカメラが引いていくラストシーンは、わざとらしすぎるなと思いました。

 あと、特典映像の、監督がシェアハウスのキャスト5人と作品について語り合ってる映像は、なんともいえない残念さがあった、、、笑

67.堤幸彦『天空の蜂』

 

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 2015年公開、東野圭吾原作の、原発の上に巨大ヘリを墜落させるぞというテロのサスペンス映画です。

 父親に異常に勧められたから見ましたが、まあ、、、という感じでした。

 映像はきれいでした。

 

 東野圭吾原作の映像作品だったら他のやつの方がいいと思います。

 

 純文学を読むようになる前の時期、高校生や大学1、2年生くらいのころに、ときたま東野圭吾作品に触れていました。

 『白夜行』、『手紙』、『分身』、『赤い指』あたりが印象的です。

 ガリレオシリーズ、加賀恭一郎シリーズはドラマも映画もたぶんほぼ全部みました。

66.フェデリコ・フェリーニ『道』〜午後の日差しの寂しさ

 

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 1954年公開のイタリア映画です。

 

 特に何の取り柄もない女性が、むきむきで粗暴な性格の、胸に巻いた鎖を肺を膨らませて引きちぎる芸一本勝負の大道芸人の付き人になって旅をするという白黒映画です。

 

 前に視聴したルーマニア映画もそうですが、こういうのは私に思いつきようのない設定の物語なので、それ自体興味がそそられます。

 

 そして本作は物語の進行から会話の感じから、何から何までしぶいです。

 陽気なふんいきの時間も長いし、人も死んだりするんだけれど、終始なんとも言えずしぶい。

 白黒がそういう効果をもたらしているのかもしれませんが、この古い映画特有の感じ、いつもより早く帰宅する学校の帰り道の午後の日差しみたいな寂しさはなんなのでしょうか。

 

 短いけれど以上。

65.クリスティアン・ムンジウ『4ヶ月、3週と2日』〜パルム・ドールを受賞したルーマニア映画

 

 映画はずっと駅前のTSUTAYAで旧作200円を借りていたのですが、近くのGEOでは旧作100円ということで、最近はもっぱらGEOを利用するようになりました。

 

 本作は2007年公開のルーマニア映画で、パルム・ドールを獲っているようです。

 独裁政権下のルーマニアを舞台に、大学の女子寮にクラス主人公が、ルームメイトの違法中絶手術の手伝いをする、という話です。

 

 洋画の社会派コーナーを物色していたとき本映画を見つけ、パッケージのすみにパルム・ドール受賞作品と書いていました。

 ルーマニアの社会派映画でパルム・ドールを受賞しているという時点で、もうみざるをえませんでした。

 

 知らない世界に対する一定の接触感が得られるため、外国の社会派映画をみることは最低限の充実を保証してくれます。

 これは私にとっては重要なことです。

 本映画もまず前提としてそういうよさがあります。

 

 そして映画そのもの、登場人物の会話の間合いであったり、風景の重量感もなんかいい感じでした。

 あとワンシーンワンシーンが長いのが特徴ですね。

 特に印象に残っているシーンは、主人公の彼氏の家のホームパーティーで親や親戚が食卓をかこんでしゃべっているシーン。

 

 以上です。

64.トーマス・ヤーン『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』〜死ななきゃ何やってもええやん

 

 1997年公開のドイツ映画です。

 余命の短いふたりが病院を脱走して好き勝手やりたい放題します。

 

 基本的にコメディタッチですが、ふたりに死が迫っているという設定が、話に立体感を与えているように思います。

 全編を通して、人間死ななきゃ何やってもええやんっていうメッセージが伝わってきます。

 

 短いけれど以上。

63.穂村弘『短歌の友人』〜高級だけどわかりやすい短歌の批評本

 

短歌の友人 (河出文庫)

短歌の友人 (河出文庫)

 

 伊藤整文学賞を受賞したしっかりした批評本なのにわかりやすいです。

 近代以降の短歌の変遷、そもそも短歌とは何か、プロの歌人はどのように短歌を鑑賞するのかといったことについて、たぶんかなり高級なことがわりと平易な言葉で分析されています。

 

 本書の内容を簡単に(雑に)要約すると、

 

・近代短歌のあけぼのともいえる大きな転換は与謝野晶子斎藤茂吉らによる「私」の獲得

やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君(与謝野晶子) 

・戦後に起きた転換は塚本邦雄らによる言葉のモノ化

日本脱出したし 皇帝ペンギン皇帝ペンギン飼育係も(塚本邦雄) 

・上記2つに匹敵する近年のモードは口語の導入

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ(俵万智) 

・2000年代になってから、想いと「うた」の間に全くレベル差のない「棒立ちの歌」が見られるようになった

たくさんのおんなのひとがいるなかでわたしをみつけてくれてありがとう(今橋愛)

・ 短歌とは「生のかけがえのなさ」という根源的テーマが形を千変万化させているに過ぎず、(著者によれば自分を含めおそらくほとんどの)歌人はそのことを前提として短歌を鑑賞する

 

 みたいな感じ、以上。