文学の凝縮、アイドルの拡散

2020-01-01から1年間の記事一覧

移転です

読書記録をつける場よりも、小説についてもう少しちゃんと考えて書きくだす場がほしいと思って、ブログをnoteに移転することにしました。 https://note.com/thinknovel

小説の書きかたについて

過去にこのブログに書いた読書感想や雑記を見返すとふしぶしで気持ち悪い文章だなあと感じてしまい、それは自分のなかに変化があったことを裏づけると思うのだが、時間をへて物事の考えかたが変わったというよりは言葉や文章に対する感覚が変化したんだと言…

しばし休止しようかな

このブログはしばらく更新されていなかったが、本を読んでいなかったわけではなく、むしろここ一、二ヵ月はいままでで一番といっていいくらい読書にふけっていて、といってもそもそも継続的に本を読めるタチじゃないから、いまもせいぜい毎日五十ページ程度…

104.上田岳弘『太陽』

人、土地、時間がめまぐるしく入れ替わり立ち替わりしながら、時間・空間的に大きなスケールで描いています。 人物同士の巡り合わせや節々のナレーションなどの妙にわざとらしい感じも、結局取り合わせの喜劇的なスパイスや切実な抒情表現の下支えを受けて、…

103.長嶋有『サイドカーに犬』

吉村萬壱『クチュクチュバーン』と2001年文學界新人賞を同時受賞した作品ですが、こちらは対局的に、平凡な世界の日常的な風景が描かれます。 とはいえ何気ない描写のなかに、スプーンひとさじの旨味が詰まっていて、読み応えがあします。 冒頭引用したかっ…

102.吉村萬壱『クチュクチュバーン』

一カ所に留まっていても仕方がない、とは誰もが思い、人々は移動をやめなかった。混 乱は続いていたが、何が起こりつつあるのかまったく分からないという人間は少なくなっ てきていた。 それでもこんな質問をする子どもがいる。 「母ちゃん、怖くないか?」 …