文学の凝縮、アイドルの拡散

29.純文からエンタメへの架橋ー北野武『アウトレイジ』

 

アウトレイジ [DVD]

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 夜の12時前から同居人らと居間でトランプギャンブルを始めると、途中やよい軒に行った以外はほとんど休みなく、翌日の昼の3時ごろまで続きました。

 私は1万4千円ほど勝ちました。

 そうして各々の部屋に戻って、窓の外の仄明るい光の差し込む部屋で、ひとりデッキにDVDを差し込みました。

 映像が始まってすぐは頭がうつらうつらしていたのですが、十分ほど経過したころ暴力的なシーンが挿入され、眠気が覚め、全く予想もしていなかったことにそのまま最後まで視聴することができました。

 

 感想はまず、同じくヤクザの世界を描いている『HANA-BI』や『ソナチネ』が純文学に近い雰囲気であるのに対して、本作は人物の描像であったりカットのスピード感みたいなものがエンタメのそれに近かったことです。

 とはいっても、北野武演じる主人公の造形はさきほどあげた2作の延長として観ることのできるものでもあって、それがエンタメの世界観の中に調和しているのは不思議な感じがしました。

 

 とにかく人が次々撃たれて死んでいくっていうのは、まあ、これについて考えるのは結構難しいですね。

 別にそれ自体は、作品の是非であったり純文かエンタメかみたいなことは何も規定していなくて、むしろ視聴者をとりまく社会環境的な要因によって評価が変わってくるたぐいのものと言いますか。

 例えばよく言われるように、映画『君の名は。』で巨大隕石が町を襲うという事象は直近で東日本大震災を経験した日本の社会環境であったからこそ共感を得ることができたのであって、もしも天災から縁遠い場所に住むひとびとであれば、「何この取ってつけたような展開」となってしまうかもしれない、みたいなことに『アウトレイジ』の過剰なまでの暴力描写も通ずるところがあるのではないでしょうか。

 

 とまあこんな感じでいつも通りとりとめなく書いているのですが、この記事を書き始めてそうそうに猛烈な眠気に襲われ、昨夜7時ごろ就寝しました。

 それから未明の3時ごろに同居人に起こされて、髪の毛を切らされました。

 それからもう1人の同居人と合わせて2人の同居人が、それぞれ別の理由によってスペインに発つということで、つい先ほど家から送り出しました。

 で、いま記事の続きを書いているという状況です。

 3LDKの部屋にひとりというのはなんとも物寂しいですね。

 

 他の同居人が不在な今後2週間を含めた10月後半は、群像新人賞の小説を書くこと、次に研究、あとは小説を読んだり映画を見たり、といった過ごし方になろうかと思います。