文学の凝縮、アイドルの拡散

34.詩的断片の重なり〜アンドレイ・タルコフスキー『鏡』

 ロシアの映画監督で最も著名とされているタルコフスキーの映画を観ました。

 1975年公開の本作は、彼の自伝的作品らしく、彼の撮った映画の中でも特に難解な作品と評されているみたいですね。 

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 私も、観ていて全く筋がつかめませんでした。

 ロシアの田園の風景の中で、時間軸がとびとびの日常が流れながら、頻繁に詩が朗読され、ときおり戦時中の白黒映像が挿入されます。

 個人的にはこういうやり口は結構好きです。

 小説だと、誰だろう、思いつきそうで思いつきませんが、川端がもっと適当になった感じ、それか『百年の孤独』を書いたマルケスとか、現代作家だと谷崎由依氏とか近いかもしれません、あるいは黒田夏子氏の『abさんご』をもう少し整えた感じ。

 

 まあいずれにしても、私の手に余る作品でしたね。

 とは言っても一方で、芸術作品は難解さ自体が魅力となる性格があるので(難解にも種類があると思いますが、ここでは「いい難解さ」とでも言っておきましょう)、理解できないこと自体が正当な味わい方な場合もあるのだと思いますが。

 

 短いですがこんな感じで。