1983年タルコフスキーがイタリアで撮った映画です。
以前同監督作の『鏡』を観たのですが、『鏡』よりは筋がわかりやすかったです。
といっても一般の映画と比べるとだいぶ筋が謎です。
とはいえこれは非常に印象的な映画でした。
「とにかくいい場所でいい映像を撮りまくって繋げた」という感じの映画でした。
よくこんなカット撮ろうと思いついたな、ていうカットばかりです。
豪奢な教会の太い柱の間を人々が数多のろうそくを担いでそろりそろりと歩いている、輪郭がはっきりしない薄暗い部屋のベットで人が寝ていてその周りを犬が徘徊している、遺跡のようなだだっぴろい壁の前で男が自転車を空漕ぎしている、プールほどの広さのある屋外公衆浴場に数人浸かっていて濃い湯けむりのあいだから時折かれらの影がのぞく、みたいな感じです。
ワンカットの長回しが多く、あと人物に絵画みたいな濃い陰影がついていたのが多かったと思います。
後者にかんして、たぶん一方向だけから照明を当てて、それをワンシーンの中で左右に移動させたりしていたのではないかと推察します。
まそういう感じです。
これは相当傑作だと思いましたが、2時間通しで視聴するのはなかなか疲れました。