- 出版社/メーカー: 日活
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リモートインターンが佳境。
エラーの連呼、アプリつくるのって難しいんだね。
アプリ開発とかそういう作業をひととおり終えたあとの、早朝の時刻に映画を観始めるということを最近よくやっている。
ソ連に短期滞在を許され、不眠で三日三晩言語のわからないロシア映画を観続けたという逸話のある蓮實重彦の気分に、少しだけ浸ることができる。
さきほど、『ビルマの竪琴』を観終えた。
1956年公開の、市川崑監督作品。
とりあえず、カットがすべてよい。
たぶん現代のビルマの風景を映されても十分惹きつけられるのに、約70年前のビルマというほとんど想像力の及ばない風景が2時間映し続けられるので、味のなくならないガムみたいにいつまでも噛み続けられる。
しかも白黒映像なのが、あまり馴染みない自分からすると、それ自体ある種の文体となっていて、より作品に「引きずり込まれる感」がある。
思ったことは、景色の連なり、小説でいう描写の連なり、はどれほど文学をつくるのかということ。
本作は寡黙に様々な角度、距離から風景を映し続けるカットが多くて、それ自体が文学を立ち上げる燃料になっている感じがある。
まあそれは普通といえば普通のことで、セリフのない映像や小説の情景描写は長ければ長いほど、作品が「なんかいい感じ」になる(これはだいぶ乱暴な言い方かもしれない)。
ただ本作は、ストーリー自体は、割とエンタメより。
日本に復員しないという選択を取った主人公の心情について、途中までは具体的に明言されず淡々と映像が流れていくんだけど、結局「他の多くの日本兵の死骸を目にして、彼らを残したままビルマの地を去れなくなった」みたいなことが、普通に声に出して言及される。
ストーリーはいわゆる戦争作品的なエンタメ感がある、けれどいかんせん統一感のある味わい深い(適当な言葉が思いつかなかった)風景、暗く、乾いて、汗がにじみ、息苦しく、眩しい風景が通底しているゆえに、エンタメ作品を観たという読後感はほとんどない。
とりあえず景色の力ってすごいな、と思った。